東京2020オリンピック競技大会の公式ウェブサイトです。最新ニュースをはじめ、競技スケジュールやイベント情報などの大会関連情報をお届けします。 オリンピック ホーム ニュース 聖火リレー 複雑に絡み合うステークホルダーの存在、そしてIOCが倒産しないためにもオリンピックの中止が最悪のシナリオだということは前編でご紹介したとおりだ。IOCは表向き「予定通り行う」というが、出来なければ中止を選ぶかというとそれは絶対にない。であれば何が“プランB”になりうるのか? それを知るためには、まず満点のシナリオを知ることだ。後編はその満点のシナリオからキーワードを導き出し、可能性のあるプランBを検証してみたい。, 満点のシナリオはとても明快である。ずばり、普通に観客を入れ予定通りの期間に東京で行うということだ。そんなのあたりまえじゃないかという声が聞こえてきそうだが、非常事態においては当たり前こそが一番なのだ。 そして、ここにプランBを紐解く大きなヒントがある。キーワードは「観客を入れる」「予定通りの期間」そして「東京で行う」という部分である。この3つがそろえば100点、そしてどれかひとつを欠けば点数は下がる。繰り返すが、オリンピックを中止にすれば0点である。100点から0点の間のどこで折り合いをつけるのか個別に長短を見てみよう。, 最初のキーワード「観客を入れる」を「入れない」すなわち無観客で行うケースはどうだろうか? 実は2週間前の時点では(3月初旬)このパターンは相当可能性があると考えていた。日本が感染列島だという前提に立てば、そんなところで数万人の観客がひとつの競技会場に集まるのは集団感染してくださいというようなものだ。しかもそれが複数の会場で同時並行するとなればなおさらだ。逆を言えば、観客が入らずに選手だけであれば、感染予防はある程度できる。選手村、食事、輸送、競技会場と選手の行く先々で消毒を徹底し、一定の距離を保つスペースが確保できれば競技はできる。まさに大相撲3月場所、プロ野球のオープン戦のパターンだ。生での観戦はできなくても、テレビ桟敷で全世界の人たちが観戦する。放映権をもつテレビ局にとっては満点回答となる。さらにチケット収入は組織委員会の収入でIOCの懐に入るわけではない。組織委員会は大赤字になるがIOCの腹は痛まない。IOCにとっても満点に近いプランだ。 一方で赤字を被る組織委員会側に立てば飲めない案だ。観客がゼロということはオリンピックでインバウンド需要を見込んでいた東京都、日本政府にとっても、まったくもって承服できるものではない。それでも中止に比べれば…。そう考えてここに落ち着く可能性はあるとにらんでいた、2週間前の時点では。ここが肝である。残念ながらわずか2週間でフェーズは変わってしまった。WHOはパンデミックを宣言し、イタリア、イランに象徴されるようにホットスポットが世界中に広がった。アメリカでも感染が拡大し、4大スポーツでも中断や開幕の延期が相次いで決まる事態になった。もう観客どころか、選手が東京に来ることが難しくなってしまったのだ。スポーツをやっている場合じゃないと。かくして、無観客は“プランB”から外れたとみていいだろう。, 先に「東京で行う」というキーワードもつぶしておきたい。 みなさん覚えているだろうか?ロンドン市長選の候補者が代替開催の可能性に触れたことを。日々、目まぐるしく状況が変わる新型コロナウイルスの危機を目の前にしては、随分と昔の話のように感じてしまうが、この話題も2月末のことだった。一番に頭に浮かんだのはマラソンの札幌移転だった。バッハ会長ならやりかねない。率直な気持ちだった。2020年7月にオリンピックをやるということを最大の目的とするならロンドンもゼロではないと思わせたが、ウイルスに国境はなかった。 いまや医療体制や衛生環境、それに死者数を見れば、日本はむしろ安全な場所なのかもしれないとさえ思えてしまう。スポーツ界では、バドミントンがそうしたように、日本にいるより海外を転戦したほうがいいと考えた時期もあった。しかし、いまでは各地で大会がキャンセルされている。むしろ、競技団体によっては日本国内にいたほうが安心だと選手を呼び戻す動きも出てきている。もはや場所を変えるなんて議論がナンセンスなのは、これ以上書くまでもないだろう。, 最後に検討するのが「予定通りの期間」を変更できるかどうかだ。 IOCの最古参の委員、ディック・パウンド氏に始まり、橋本聖子オリパラ大臣、組織委員会の高橋理事、ついにはアメリカのトランプ大統領まで口にしはじめたのだから、いま考えうる最良の“プランB”はここにあるといっていいだろう。ではいつになら変更可能なのか? 橋本大臣が口走った年内のパターンは、開催都市契約に基づくものだ。契約書には2020年に開催できない場合はIOCが中止を決められるという条項がある。裏を返せば年内であれば大丈夫という解釈を述べたというのが実際のところだ。しかし、実現性は極めて低いといっていい。ここで何度も述べてきたIOCの最大の収入源、放映権を持つテレビ局が承服しかねるからだ。世界のテレビ局はオリンピックの放送を編成し、そのCM枠を売って収入とする。莫大な放映権料を払うのは、それに見合うCM契約が得られるからだ。でもチャンネル数には制限がある。同時に野球、バスケ、アメフト、ホッケー、ヨーロッパであればサッカー、日本であれば相撲など、メジャースポーツが放送されていれば視聴者も分散し、おのずとCM権料も下がる。オリンピックが4大スポーツほどの人気がないアメリカでは、むしろ余剰コンテンツとなってしまうわけだ。また、競技会場自体もすでに秋冬は別のスケジュールが埋まっている。その調整は途方もない労力になり、まさにメリットなしだ。, であれば、7,8月という同じ時期だが年が違う年単位の延期が現実味を帯びてくる。そこにダイレクトに来たのがあのドナルド・トランプ米大統領の一言である。「1年延期したほうがいいのでは」その根拠は「無観客よりはいいだろう」というものだ。 さっきも述べたように無観客で困るのは組織委員会や東京都、それに日本政府だ。そう考えれば日本に最大限配慮した発言でもあるのだ。その前日には大会組織委員会の理事が1年から2年の延期の可能性に言及した。 組織委員会のドン森喜朗会長は火消しに走ったが、この発言をしたのは電通の元役員だ。電通といえば世界のスポーツ界に影響力がある代理店で広告を取り仕切っている存在であるのはいうまでもない。アメリカ大統領と電通元役員が通じ合うというのは非現実的だが、向いている方向性が同じというのは然もありなんだ。もちろんマイナス面はいくつもある。 例えば、大会後に解散する組織委員会を1年も継続させる経費は少額ではない。各競技団体はすでに世界選手権やワールドカップなど2021年22年の大会スケジュールを組んでいる。それをずらすのも大迷惑だ。しかし、中止にすることを考えると1年後に通常開催できればメリットのほうがはるかに大きい。少なくともステークホルダーの多くが納得しうる選択肢といっていいだろう。, じゃあ1年か2年の延期で決まり。そう言いたいところだが、ここまで書いて大事なことを忘れていることにお気づきだろうか? そう、オリンピックの主役は誰かということである。マラソンの札幌移転の時、IOCはこぞってアスリートファーストという言葉を使った。まるで錦の御旗のように。もし大会を1年延期したらアスリートはどうなる?僕らメディアの人間さえこの生活をもう1年続けるのは無理と言っている人が多いのが現状なのに、キリキリ傷んで胃が崩壊しそうな代表選考とピーキングをもう1年繰り返すなんて狂気の沙汰かもしれない。 さらに、いま世界最高の選手たちが1年後に世界最高である保証はどこにもない。言い換えれば、すでに出場内定している選手たちを来年出場させるのか、それとも改めて選考しなおすのか。どうやっても遺恨を残す、アスリートファーストとは程遠い未来が待っていることになる。 さあどうする東京オリンピック。うまく乗り切ってレガシーを残すことができるか、残された時間はほとんどない。, 無観客で行われているプロ野球オープン戦、そして3月20日に予定されていた開幕の延期、Jリーグも開幕節のあと延期が続いている。NHKで見る無観客の大相撲中継はまさに異様だ。そしてセンバツ高校野球まで中止となった。, 著者プロフィール VictorySportsNews編集部. 3月24日に延期を発表して以来、東京五輪の命運はまるで冬の日の落日のように、急速に尽きようとしている。5月22日にIOCのバッハ会長は英BBCのインタビューで「21年に開催出来なければ五輪は中止」と発言。IOCが既に中止も視野に入れていることが全世界に発信されたことは、特に衝撃を与えた。, それだけでも反響は大きかったが、さらに調整委員長のコーツ氏が「今年10月頃に開催の可否判断をする」と語ったことを豪紙が伝え、一気に中止が現実味を帯びてきた。なぜなら、現在も全世界で新型コロナ肺炎の患者は増加しており、終息の見込みは全く立っていないからだ。また、安倍首相と組織委が一縷の望みを託すワクチン開発が開催に間に合わないことも明らかであり、10月までの数カ月で状況が好転する可能性は、ほぼ無い。, 延期発表まで、国内のテレビではスポンサー企業のCMが溢れ、あらゆるメディアで五輪翼賛報道が溢れていたことは、読者諸兄もまだご記憶だろう。まさに五輪こそは正義であり、五輪のためなら国民生活を多少犠牲にしても仕方がないとする空気が、この国を覆っていた。, だが、あれから僅か2カ月あまりで情勢は激変し、あれよあれよという間に、延期どころか、もはや中止の瀬戸際に立たされている。何よりも、大多数の国民が補償の無い自粛要請に不満と不安を持ち、「こんな状況で五輪に無駄金を使えるか」「五輪に使うカネがあるなら補償や医療に回せ」と考えている。つまり、五輪開催はもう国民の支持を完全に失っているのだ。これはまるで、栄耀栄華を誇った平家が栄光の座を転がり落ち、短期間で断末魔の壇ノ浦に追い詰められたかのようである。, 上記のいずれの発言も、日本の組織委側は直接聞いていないとして否定しているが、開催決定権を握るIOC最高幹部の発言であり、もはや撤収に向けての流れは定まった感がある。だが、中止になってもIOCは費用の大半を保険で賄えるのに対し、インバウンド効果を狙って巨額の投資をしてきた日本側とは、損失のレベルが全く異なる。つまり、立場の決定的な違いが発言内容の乖離を生んでいるのだ。, 経済効果の分析で著名な関西大学の宮本勝浩名誉教授は、五輪延期の追加経費を4225億円、延期による経済損失は6408億円、そして中止した場合の経済損失は4兆5151億円と試算している。 組織委は未だに延期の必要経費すら発表していないが、延期と中止の損失額の差はとんでもなく巨大であり、損失の表面化を恐れて現実的な判断が出来ない日本側を尻目に、IOCは極めてリアリスティックな判断を下せる。彼らは現下の世界情勢を冷静に分析し、既に来年の五輪開催は不可能と予測して、撤収準備に入ったと考えるべきである。, そして現在、中止の要因としてコロナ禍ばかりが語られているが、実は、解決されていない重大な問題がもう一つ存在する。それは、五輪開催中の酷暑対策である。東京の酷暑に対応する根本的解決策はなく、昨年の段階でも、観客席に雪を降らせるとか、編み笠のような帽子を被らせるとか、朝顔を並べる等の珍妙な案しか出ていなかった。そこに、酷暑下でコロナ対策のためのマスク着用という、全く想定していなかった事態が発生する。, 最近、熱中症の新たな危険性として、夏期におけるマスク着用問題がメディアでも報じられている。コロナ対策にマスクは欠かせないが、暑さを我慢しながらのマスク着用は、熱中症のリスクを高めてしまうというものだ。だからもし7月に五輪を開催すると、酷暑の下で、観客やボランティアにマスクを着用させるかどうかという問題が発生するのである。, ということは、暑さ対策すらまともに出来ていなかった組織委が、同時並行でコロナ対策もやらなければならない。猛暑下でマスク着用を義務化すれば、熱中症の危険性は格段に増すだろう。だが、巨大イベントで人々が密集する「三密状態」でマスクを外せば、今度はコロナの危険性が高まる。つまり、アスリート、観客、ボランティアにとって、暑さとコロナによる危険が複合化する可能性が極めて高くなるということだ。, 東京五輪開催のためには「猛暑」と「コロナ」の二正面作戦を強いられることになった。これにさらに「延期作業」も加えれば三正面だが、歴史上どんな強国であっても、二正面作戦、三正面作戦に勝利した国など存在しない。ましてや日本の無能な政府と、無責任な組織委のコンビがこの難題に勝利できるはずがないのは、これまでの対応からして自明である。東京五輪は猛暑とコロナのダブルパンチで沈むのだ。, 以上により、もはや東京五輪の中止は決定的である。では、正式な中止宣言はいつになるのか。コーツ委員長は開催判断を10月としたが、私はもう少し早い時期の8月末頃を予想している。というのは、組織委に出向している各地の自治体職員(市・区役所等)の処遇があるからだ。, 4月時点で3500名だった組織委は、現在全員が自宅待機もしくはテレワークになっている。そのため既に、全国自治体からの数百人の出向者には、元の職場への期限付き帰任指示が出ている。自治体はどこもコロナ対応業務に追われていて、一人でも人手が欲しい状況だからだ。逆に言えば、周辺自治体との延期作業はこの間ストップしていることになる。, この帰任指示の期限がとりあえず夏まで、つまり8月末とされており、その頃には、各自治体から帰任を解除するのか否かの問い合わせが組織委に集中する。つまり組織委は、8月末までには各自治体に方針を表明しなければならず、そこが一つの山場になると予想される。あくまで五輪延期作業を続行するなら、出向者を組織委に戻して作業をしなければならないが、その頃果たしてそんな余裕がある自治体が存在するだろうか。, 現在、組織委内でさえ、開催はもはや不可能と考える人が多いと聞く。だが上層部は最高月額200万円という高額報酬をもらっているから、中止などとは口が裂けても言いたくない。また、スポンサーである大手メディアも、海外報道を伝えるだけで、開催不可能という予測は自社では絶対に報じない。だが、もはや来夏の五輪開催は奇跡でも起きない限り不可能であり、その奇跡を懇願するだけなら、怪しい宗教かオカルトの類いと同じである。つまり、何の科学的根拠も展望も無いままに、五輪開催を熱望するだけの組織委やメディアは、既にオカルト化しているのだ。, そして、こうしている間にも組織委の人件費は毎月20億円以上、組織委が入る事務所や各地の施設賃貸料も、毎月数億円単位でかさんでいくが、その追加費用の殆どは、税金で補填される。もし来年の3月頃まで引っ張って中止にすれば、巨額の税金が無駄になるのに、誰もが責任を問われるのを恐れて放置している。, 前述した宮本教授による、中止した場合の損失額4兆5千億円はとてつもない巨額で、政府や組織委がなんとかそれを避けたいと考えるのは理解できる。しかし現実的に考えれば開催は不可能なのだから、それならば一刻も早く中止に舵を切り、敗戦処理に全力をあげ、少しでも損失を減らす努力を始めるべきなのだ。, 私は数年前から、この五輪はまるでインパール作戦だと指摘してきたが、今まさにそうなるか否かの岐路に立っている。インパール作戦は、上層部の保身から撤退命令を出すべき時に出さず、損害を悲劇的に巨大化させた。その轍を踏んではならない。, 1962年東京生まれ。1989年に博報堂に入社し、2006年退社。博報堂時代の経験から、広告代理店とメディアの癒着によって起こる諸問題について告発を続けている。主な著書に『電通と原発報道』(亜紀書房)、『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)などがある。, 2020年東京五輪は“人命”を軽く扱っていないか。組織委員会とメディアが犯した罪/本間龍インタビュー, 東京オリンピック2020は下品な「スクラップ・アンド・ビルド」/本間龍・武田砂鉄対談(前編), 「東京オリンピック中止は避けられない。一刻も早い「中止宣言」を」のページです。政治、社会、東京オリンピックなどの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。.

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